ここではない時。
 ここではない世界。
 そこは、龍に護られている世界であった。
 龍達の中の頂点でもある、神龍と呼ばれる存在。
 全部で六体いるといわれている神龍達を信仰している人々が多かった。
 だが、その日は突然崩れた。
 突如として現れた黒き龍…通称、『邪龍 ディアドラゴ』は、世界を支配し始めた。
 正確には、その邪龍を信仰し始めた国の人々が、世界を征服しようとしているのだ。その影響として下級の龍たちが狂い始めたのだ。
 だが、下級の龍といっても人間から見れば十分に脅威となる存在であった。

「ああ、どうすればいいのだ…」

 そこにいた、神官らしき者の一人が呟く。

「邪龍、ディアドラゴに対抗するにはやはり、神龍達に頼るしかないのか…」

 同調するように、別にいた神官も呟いた。
 彼等(か彼女等かは深く被ったフードのせいで不明なのだが)は、手に様々な文献を持っていろいろと調べていた。
 結果、分かったことは…神龍達が力を貸すのは、自身が認めた者…それもそれぞれ、自分に同調することのできる人間のみ、ということだった。
 自分と同調ができても、認めさせることができなければ神龍達は力を貸してはくれないのだ。
 理由は不明だが、そう言う存在であることは間違いはない。実際に神龍の封印されているところにいっても、何も起こらなかったのだから。
 そして、城に封印されている神龍。彼に同調できる者は、この国にはいなかった。

「ならば、同調できる者を、異世界から呼び出しましょう。そうでなくても、その方が邪龍と闘えるだけの力を持っているかもしれない」

 そうと決まれば、と…神官達は召喚の準備を始めた。
 どんな人物が召喚されるかは分からないが、神龍の力を借りることのできる可能性は、出てきたのだった。



ドラゴテールアドベンチャー
第一話 『異世界からの召喚』


作者名:カイル




「へっくし!」

「どうした、緋村。風邪か?」

 くしゃみをした生徒…つまり、このボク。緋村更夜は、そう先生に聞かれた。

「あ、大丈夫です。ちょっと鼻がむずむずしただけですから」

 そうか、というと先生は授業に戻っていく。
 ボクはその時、隣からツンツン、と指でさされる感触を肩に感じた。

「誰かが噂してるんじゃないの?」

 ひそひそと話しかけてきたのは、坂井小夜だ。

「そうかもね」

 素っ気なく返し、授業へと気を向ける。
 この先生、いつあてられるか分からないので少したりとも気がそらせないのだ。

「…いつもの場所で、待ってるから」

 いつもの場所。
 彼女はそう告げた。ボクはそれに首を縦に振って応じた。


 そして、あっという間に放課後がやってきた。
 ボクは、一度帰って着替えを済ませ…自転車を使ってそのいつもの場所に向かった。
 山の上にある、ふれあい公園だ。
 ボクたち二人はそこでいつもいろいろと話し合う。

「で、どうしたの?」

「うん。実は……久しぶりに、お兄ちゃんの家に行きたいなって、思って」

 彼女は、ボクと二人きりの時は決まって『お兄ちゃん』と呼ぶ。
 別にボクと彼女は男女交際何てしてないし、妹萌えとかいうのもしない。
 ……何故かといえば、本当ならば、彼女とボクは双子の兄妹だからだ。

 大体、ボクらが十歳の頃に親が離婚して、ボクは父さんが。小夜は母さんが引き取った。
 離婚の一部始終を見ていた当時のボクたちは、泣いて泣いて…大変だったのを覚えている。
 だから、小夜はボクのことをお兄ちゃんというし、ボクもそれを否定しないのだ。
 血の繋がった、双子の兄妹なのだから。

「久しぶりに、お父さんに会いたいって…駄目?」

「……父さん、喜ぶよ。母さんに会うのは駄目っぽいけど、酒呑んだときなんかよく呟いている。小夜の名前を、ね」

 彼女は笑った。

「でも…うちは駄目だよ」

「それは分かってる。この前、偶然スーパーであったときなんか……思いっきり睨まれたもん」

 憎しみのこもった、そんな睨み。それをボクは受けた。
 母さん、と呼ぶことすら憚れる、そんな睨みを。

「ごめん。お兄ちゃんの、せいじゃないのに」

「小夜こそ、謝ることなんてないよ。父さんと母さんが、勝手に離婚しただけだから…」

 ぐぉん。

 唐突に、そんな音が、耳を突いた。
 そしてボクたちの目の前に、この二本では見ることのできないはずのものが、出現した。

「アレは…オーロラ?」

 夏も近いというのに、何故か光のカーテンが空を覆っていた。
 色は、赤。
 炎を思わせる、真紅の光。

「……お兄ちゃん、なんか……近づいてきてない?」

「…ボクも、同じこと考えてた」

 逃げようにも、オーロラはどんどんと近づいてくるうえに、足がすくんで動かないのだ。
 やがて、オーロラはボクたちを包み込む。赤き光により、目の前の景色が普段とまったく違って見えた。
 だけどその景色も、だんだんと遠ざかっていく。
 どういうことかは分からないけど、その景色が小さくなっていくようなのだ。

「…っ」

 ぐ……
 頭が……痛い……

「お、お兄ちゃん…頭おさえて、大丈夫?」

「ああ…でも…い…た…い…」

 ・・・・?
 今…頭によぎったのって…ドラゴン?

 そのドラゴンを見た次の瞬間、今さっきの頭痛が嘘のようにひいていったのだ。

「…? 何なんだろう…」

 だが、疑問を抱いている暇なぞ無かった。
 地面が、突如としてなくなってしまったのだ。
 重力は相変わらずあるらしく、ボクたちは一気にしたに落ちていった。

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」

「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!」

 ああ、小夜…そんなに抱きつかれたら胸の膨らみが腕に当たったりなんかしちゃってって、ボクは実の妹になんてことを考えてるんだっていうか、今はそんなコト考えている場合じゃなかった!

 赤のオーロラは、壁のようにつかみ所はない。
 ……そして、だんだんと終点が見えてくる。
 ぐるぐると回りながら、だんだんとその終点が近づいてきている。
 その終点ってのは、なんかお城みたいだった。
 ……ってことはボクたち、あの城に落ちるんじゃないだろうか。
 ふと、そんな考えが頭によぎる。

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」

「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!」

 仲良く悲鳴を上げながら、しかし成す術なく重力(本当に重力なのかなぁ?)にしたがって落ちていくボクたち。
 いよいよぶつかる! というところまで来て…
 ボクたちは、そのお城をすり抜けた。
 痛みどころか、触った感触すらなかった。

「……?」

 疑問を抱いても、言葉を喋る暇もなく衝撃がやってきた。
 衝撃と言ってもそれはひどい物ではなく、ちょっと高いところから飛び降りたというくらいの衝撃だ。耐えられない物ではなかったので、ボクたちは辺りを見回す余裕という物ができた。

「おい、何故二人も呼び出したのだ」

「……近くにいたんじゃないのか? それにしても、どちらが、神龍の力を引き出せる者なのか…」

 訳の分からない服装をしたそいつらは、一応は分かる言葉を喋っていた。
 それにしても呼び出すとか神龍とか……ゲームとかで聞く単語だけど、一体どういうことなんだろう。

「どちらも部屋に押し込めばいい……違うのであれば、害なく出てこられるだろう」

「あの、一体どういうことですか?」

 だけど、ボクの問いに彼等は取り合わなかった。
 変わりに、ついてこいとだけ言い、訳の分からないボクたちを案内してくれた。
 案内してくれた場所は、下に降りる階段だった。
 そこで彼等は、降りろといった。
 訳の分からないボクたちには、従うしかなかった。

 一番下には扉があった。
 開くしかない、と悟ったボクは…少し躊躇してから扉を開いてみた。

 因みに、小夜はずっとボクの服の裾を握ってボクの後ろをついてきている。
 そう言えば……小夜は怖いの苦手だっけ。そんなコトを考えながら、ボクたち二人は扉の先に入ってみる。
 部屋の中は……なんて言えばいいんだろう。不気味な雰囲気に包まれていた。
 不気味…? いや違う。ほかに言い方が思いつかないから、不気味って言ってしまったんだ。
 不思議、の方がどちらかというとこの場の雰囲気にあっているような気がする。

『異世界の者達よ 何用あって、この部屋に入ってきた』

「え? だ、誰ですか?」

 ボクはとっさにそう言ってしまった。
 頭の中だけに響いてきた、その声に対して。

「お兄ちゃんにも、聞こえたの?」

「…小夜にも? じゃあ、一体誰の声…」

『何のようもなくこの部屋に入ってきたとは考えにくいな。この部屋に入ったという、理由を聞かせてもらおうか』

「分かりません。ボクたち二人は、何人かの人達に連れられて、ここに案内されただけなんですから」

『嘘ではないようだな……ならば、説明してやろう。この私がな』

 突如として、部屋の真ん中にあった龍の石造から赤い光が放出された。
 赤の光は、人を象った姿になっていく。
 赤の光が消えたとき、そこには炎のような赤い髪と目をした、ボクたちと同い年ぐらいの女の子が、そこにいた。

「こっちのほうが話しやすい。だろう? 異世界の者よ」

 異世界の者と言われても、正直ピンとこない。
 もしかしたら、これは全て僕の見ている夢なのかもしれないのだ。

「この世界は、主らの世界とは違う世界。ドラゴテールと呼ばれる世界……」

 彼女は、微笑みながらそう言う。
 だけど、彼女がただの人間でないことはすぐに分かる。光が集束して人の形になったのだから、普通の人間であるはずがない。たとえ、ここが夢の中だったとしても。

「この世界は、主らの世界と違って魔法などの存在は当たり前。龍や、妖精などの、そちらで言う幻獣達も数多く暮らしている」

 ボクと小夜は、一言も言葉を発していない。否、発することができないのだ。このわけの分からない状況の中、ボクたちの頭の中は混沌が訪れてしまっている。
 魔法? 龍? 妖精? 幻獣?
 ああ、なんか頭が痛くなってきた。

「おっと、私の自己紹介を忘れていた…と言っても、私に名前なぞ無いのだがな。私は神龍、と呼ばれる存在だ。このドラゴテールという世界を創っただのといわれている…それが神龍だ。この世界には、全部で六体の神龍がいる。赤、青、緑、黄、白、黒の…六色の龍達が。私はその中の一体、赤の神龍だ。
 最も、実際に私たちは、世界を創ってはいないのだがな」

 彼女(神龍という言い方もアレだから、あえてこう呼ばせていただきます)は微笑みを浮かべたまま、少女らしくない言葉遣いで淡々と話していく。

「おそらくお前達二人をこの部屋に押し込んだのは、私の力が借りたかったのだろう。……私と、波長の合う人間でなければ、私は力を与えることはできないのだからな」

 彼女は、寂しそうにそう言った。

「……そして……緋村更夜。お前こそが、私と波長のあう人間なのだ。だからこそ、主は召喚された。私という存在の力を、使うためにな」

「ち、ちょっとまった。何で、貴女の力を借りなきゃならないんですか? 世界を創ったって噂されるくらいだから、すっごい力を持ってるんでしょう? 何も人に力をあたえなくても、貴女自身が出張れば……」

「ほかの人間も、そう考えているだろうな。だが、無理なのだ」

「ぇ」

「我ら神龍は、世界の事象に係わることのできないように封印されてしまった。……だが、例外もある。お前のような、我らと波長の合う人間に力をあたえることで、私たち神龍が闘うのと同等、もしくはそれ以上の力を発揮させることができるようになるのだ」

 ボクと小夜は、彼女の話を信じてきていた。
 彼女の話は確かに信じがたいことが混じっている。でも、それを話す彼女の口調に、嘘は見られない。
 あくまで、直感だけど。

「……ふぅ。それにしても、私の姿、声を聞くことのできる、波長も合わぬ人間がいようとはな」

「え? それってどういう…ことですか

 小夜は、ボクの後ろに隠れながら彼女に向けてそう言った。

「本来ならば、龍騎士となる素質を持つ人間。……私は波長の合う人間と呼んでいるのだが……しか、我等の存在を見ることはできないのだ。可能性としては、お主には別の神龍と波長の合う人間、という説がある」

「ちょいまち。今さっき、龍騎士って言ってたけど、それって?」

「龍騎士。我等、神龍の力を得た人間のことを、我等はそう呼んでいる。または、『ドラグーン』とな」

 言われても、正直ピンとこない。
 夢ではなかろうかというおもいが、ますます強まってきた。
 夢だとしたらすごい世界観だな。目覚めたりしたら、メモとって小説でも書こうかな?
 試しに、思いっきりほっぺたをつねってみた。
 痛かった。
 痛かったと言うことは、夢ではないということだ。夢じゃないってことは現実。
 現実…
 げんじ・・・

「……でも、ボクはそんなコトやりたくない! 何で、ボクがやらなきゃ……」

「望みもしないのにここに入れられたのか。可哀想にな。だが、私は更夜、お前を試す。」

 彼女は、ボクをおもっきり睨んだ。

「そこの少女。更夜から離れろ。更夜は私と同調することのできる人間だから耐えることはできるが、お前はそうもいかん。死ぬぞ」

 その言葉を聞き、ボクは服を握っていた小夜の手を無理矢理に放させて、どんっと押した。
 尻餅をついている姿が目に映ったが、それも一瞬だった。
 次の瞬間には、紅い炎がボクを囲っていた。……逃げることは、できないようだ。
 でも不思議と、その炎は熱く感じなかった。炎はどんどん強くなっていき、ボクを包む。だけどボクは焼かれることはなかった。熱さはない。むしろ涼しささえ感じてしまう。
 炎ってのを、ここまで近く見たことはなかったな。そんな他愛もないことを考える余裕さえあった。

『お前は彼女のことをどう思っているのだ』

 そんな声が、頭に響く。
 彼女って…小夜のこと?

『名前は知らぬが、お主と今共にいる者だ』

 ……難しいね。
 彼女はボクの妹だ。でも、今は……戸籍上は、妹ではない。
 そしてボクは、彼女を妹としてしか、見たことはない。
 ……そんなボクは、一体彼女のことをどう思っているんだろうか。
 自分ですら分からないその質問に、応えられるわけがなかった。

『ふ…今の質問は冗談だ。気にするな」

 ……この声って、多分神龍だよね?
 意外とお茶目なことで。

『お茶目で悪かったな』

 あ、聞こえているのか。
 だったらこのまま話しても構いはしないね。神龍、ボクに君が求める力なんてないよ。

『それはお前の思いこみだ。人は誰しも、心の中に力を秘めている。それが表に出すことができる奴と、できない奴がいるだけでな』

 だったら、ボクはそれができないやつさ。

『なにをいうか。更夜よ……運命、という言葉を信じるか』

 運命?

『そうだ。あらかじめ決まっている、とされたことだという。それを信じるか』

 別に信じちゃいないし、かといって信じていないわけでもないよ。
 運命って、とっても曖昧な物なんだ。それが運命かどうかなんて、誰にも分からないだろうしね。

『ふむ。そう言う考えか。私に言わせれば、運命なんて糞喰らえだ。私と同調する人間が、そんなもののことを信じてここに来る、夢を見ている奴というのがむかつくのだよ』

 ……なんか、嫌な予感が……

『合格だ。お前は私の力を受け取り、龍騎士……ドラグーンとなるがいい』

 え〜〜〜〜! いやだよ!

『今更何を言う。私はお前のことが気に入った。お前の頭の中を覗かせてもらったぞ。お前が運命を曖昧な物として受け取っている理由、それは妹のことだな』

 え?

『お前と妹は、小さい頃に別れることになってしまった。他の人はそれを運命だといった。だが、お前はそれを信じたくなかった。だから運命をあまり信じたくなくなったのだろう?』

 …………

『少なくとも、心の奥底ではそう思っているということだ。私が気に入ったのは、お前の頭の中の様々な考え方。それが私に似ていたからだ。ふふふ。今まであった力の波長の合う人間どもとは比べ物にならないほど、お前はいい。普通とは異なる暮らしが、お前の中の力を強めている。だから私はお前を龍騎士とする。今すぐに、だ。ちょうど、敵も近づいているようだしな。腕試しにはちょうどいい』

 敵って……そう言えば、ボクを召喚して君の力を得たい人達がいたけど、何でその人達が君の力を使いたかったんだろう。

『簡単なことだ。この世界が危機に陥っている。どんな奴かは、私は知らないがな』

 知らないの?

『当たり前だ。ずっとここに封印されていたのだぞ? 分かるわけがない』

 ごもっとも。

『暫く、身体を貸してもらうぞ。そして感じろ。闘い方を、力の使い方を』

 炎が、一気に迫ってくる。
 それでもボクは、熱さを感じない。
 炎はボクの中に入ってきた。だけどそれは不快な物ではなく、どちらかといえば心地よかった。

 気がつくと、炎は消えていた。

「おにい…ちゃん?」

 小夜が、驚いたような表情でボクを見つめていた。
 そう言えば、ボクは龍騎士になっちゃったンだっけ。
 望んでもいないのに。

 さて、どんな姿になったのかなと、自分の首から下を見てみた。
 赤い服に、赤いスカート…? そして、なんか知らないけど膨らんだ胸。
 これってもしかして……

「小夜、といったな。暫くお前はここにいろ。ここならば安全だ」

 と、ボクの口を使って神龍が喋る。
 出た声は可愛らしい女の子の声だった。
 どういうことだ? という疑問をかかえながらも、身体が勝手に動く。
 次の瞬間、ボクの身体は上に飛翔を始めた。
 飛翔の前に、背中に熱い炎の翼が生えたことが理解できたから、それを使って飛んだのだろう。
 そのまま行けば、天井にぶつかるだろう。
 危ない! と思ったけれど、いつの間にか両の手に握られていた双剣が、天井を切り裂く。
 何度も何度も切り裂いて、そしてついに空へと飛び出した。
 空の上。それは屋上に立ったときのそれに似ていた。
 吹き付ける風が気持ちいい。
 だが、今回はそれを悠長に感じている場合ではないと、ボクの中にいる神龍が伝えている。

 そして……見えた。幾人かの、武装した兵士達が龍に乗って来るのが。
 ボクは…いや、ボクを身体の主導権を持っている神龍が、その兵士達の来る方に向かって飛ぶ。
 不思議と、恐怖心とかはなかった。よくできた、バーチャルリアリティとか、夢の中だと思っているせいかもしれない。
 風を切る音、感触、それら全てが存在するのに、まだボクは現実感を感じきれていなかった。

 左手に握られていた剣が、一匹目の龍の首を刈り取る。
 と、同時に龍の身体が炎上し、それに騎乗していた兵士もろとも焼いた。

「一つ、教えておこう」

 ボクの口を使い、神龍が言葉を紡ぐ。
 それでも出る声は、僕の声ではなく…女の子らしい声だった。

「この世界は、情報で構成されている。実体という物が、この世界にはない。お前等の世界を物質世界というのなら、この世界は情報世界だ。……だからこそ、魔法という物が存在し、お前等の世界の理屈に合わぬことも、実現できるのだろうがな」

 そう言いながらも、神龍は両手に握られた剣を上手く使い、大量にいる兵士達を倒していく。
 切られただけで、まるで空気に溶けるようにして消える様は…流石に目に焼き付いてしまう。

 そして、ボクは感じていた。
 神龍の使う剣技を。炎の使い方を。そして、その二つをミックスさせた技を。
 初めての体験だった。
 自分の身体が勝手に動くのだけれど、それが不快というわけではない。だからといって、心地よいって訳でもないんだけど……新鮮な気分、というのか……まあそんな感じだ。

 そして、気がついたときには……そこにいた部隊、全てを根絶やしにしてしまっていた。
 死体などは、まったく落ちていない。彼のいったとおり、物質として存在しているわけではなく、情報として物が構成されているこの世界では、情報の核……脳味噌のようなものだろう……を切り裂くだけで、いとも簡単に消えてしまうのだ。
 ……神龍が伝えてきているのを、ただ言葉に表しただけなんだけれど。

 ボクたち(?)は、城に戻った。
 自分で切り裂いた穴を通り、小夜のいる地下へと戻っていった。

「……お、お兄ちゃん……」

 まだ、小夜は戸惑っているようだ。
 そりゃそうだろう。ボクだって、ちょっと戸惑っている。
 でも、現実感を感じきれていないせいか、その戸惑いも意味を成さなかった。

「ハハハ、小夜。なんか、龍騎士になっちゃったよ。この神龍、勝手にボクを見込んだとか言って、いやだっていっているのに…勝手に…」

 なんか、涙が出てきちゃった…
 うう、何で僕がこんなことを……

「お兄ちゃんも……大変だね。でも、お姉ちゃん、っていった方がいいかな?」

「いや、お願いだからお姉ちゃんだけは勘弁して…」

 その時だった。
 ボクの身体が紅い炎に包まれたのは。
 だがそれも一瞬で、紅い炎はボクの胸元に集中し、消えていった。一体、何だったんだろう……

「あ……」

「小夜、どうし…あ」

 気付いた。
 声が、戻っていることに。
 そして身体を見てみた。
 元の…身体だった。服装も、少し前まで着ていたものと同じものであった。
 代わりに、首飾りが首にかけてあった。
 二本の剣を、十字に交差させた形の……赤い宝石が埋め込まれた首飾りが。


『さて。もうここには用はないはずだ。…力を手に入れても、お前は自分の勝手にしろ。この世界を見捨てて、帰ってもよし。逆に、この世界に住み着くもよし。私の力があるのだ……どこかの国の、将軍ぐらいになら、なれるやもしれんな』

 どこか楽しんでいるような声の、神龍の声があった。
 声の出所は不明だけど、多分ボクの中にいるんだろうな。ゲームとか、そう言うのではそう言うもんだし。

「神龍、そう言えば君には名前がついていないんだね」
『そう言うお前の、龍騎士の姿にも名前はついておらんな』

「じゃあさ……フレイと、フレイアでどうかな? ボクがフレイで、君がフレイア。どっかで聞いたような名前だから、使っちゃうけど……」

『別に構いはしない……そう呼びたければ、呼べ。緋村更夜こと、龍騎士フレイよ』

 そう言ったってことは、認めたってことだね、ボクの思いついた名前を。
 ……メッチャ適当に考えついた名前だけど、まぁいいか。

「お兄ちゃん、どうするの?」

「どうするもこうするも……とにかく上に行こう。そして……もとの世界に戻してくれるように頼もうよ」

 せめて小夜だけでも、という言葉は飲み込んだ。
 神龍の力を取り込んだボク…なんか、義務のようなものを感じてしまうのだ。
 この世界を、守らなきゃいけないような、そんな義務がボクを押しつぶそうとしているような気がする。
 元の世界に戻っても、このことが頭に残って罪悪感を感じさせられるだろう。
 だから、せめてボクだけでもこの世界に残りたいと思う。世界のためなんかじゃなく(元々そんな実感が湧いていない)、ボクが罪悪感を感じないためにも。

「お兄ちゃん。お兄ちゃんが今、考えていることは大体分かるよ。私だけ帰るなんて、そんなのいや」

 いやって……

「帰れなくなっちゃうかもしれないんだぞ!」

「構わないわ! だって!」

 だが、そこまで勢いよく言ったものの、小夜はぶるぶると震えだし、そのままへたれ込んでしまった。
 一体、どういうことなんだろう。

「小夜、どうしたの?」

 言葉を喋ろうと、口を動かすが、そこから言葉が漏れることはなかった。
 意味もなく、口を動かすだけに終わる。
 ぽろぽろと、両目から雫がこぼれ落ちる。

「喋りたくないなら、それでいい。こっちに残りたいんだったら、それでもいいよ。でも……どうしたの? 話してくれても、いいんじゃないの? ここには、ボクと小夜しかいないよ」

 本当は神龍がボクの中にいるけど、同化しているようなので関係ない。
 今さっきから沈黙を保っていることだし。

「…お母さんが、再婚するの」

 静かに、彼女は独白した。
 ボクに聞かせるというよりは、自分に言い聞かせるかのような口調だ。
 ……これで、納得がいった。
 多分、再び家庭が壊れるのがいやなんだろう。
 ボクや父さんと別れ、今は母さん(元だけど)と暮らしている小夜。元々別れ話を持ちかけたのは、母さんだったという話だ。となると、再び離婚をして家庭が崩壊する可能性も、無いとはいえないのだ。
 母さんが昔吐いた言葉が、今も鮮明によみがえる。

『あんたなんて…望んじゃいなかった! 私には小夜だけいてくれればいい!』

 それでも、父さんはボクを育ててくれた。
 ボクが病気になったときは、仕事を放って駆けつけてくれた。
 だから、ぐれるなんてことはなかった。小夜とは、たまにあって話をしたりしていたし。
 話がずれたけれど、そんなコトがあってもおかしくはないのだ。小夜を捨てて、別の男とどこかに行く可能性だって……その、再婚相手がちゃんと小夜の面倒を見てくれるかだって妖しいものだ。

「だから…私を、一人にしないで」

 ぽろぽろと落ちる涙。それでも目は、ボクをしっかりと見据えていた。
 …仕方がない。

「分かったよ。何とか頼んで、ボクがこっちの世界にいる間だけでも暮らせるように、頼んでみるから」

 足を早々と運ぼうとしたけど、足が重くて、どうも先に進んでいかない。
 あの時のことを、思い出したからだ。
 くそ……忌々しい。

『更夜……後で、話したいことがある。一人になったときに、首飾りを握りしめろ』

 ボクの中で、フレイアがそう言葉をかけた。
 分かったよ、フレイア。

 足取りは、少しだけ軽くなった。
 本当に、少しだけだけど。

 ボクは扉を開け、そして階段を上がっていった。
 後ろから、ボクに隠れるようにして小夜がついてくる。

「おお! どうだったのだ!」

「その前に、一つ聞きたいことがある。君たちは、神龍の力を借りてどうするつもりなの?」

「しれたこと。この世界、ドラゴテールに現れた邪龍、ディアドラゴを倒すためだ!」

 でぃあどらご?
 ……ゲームなんかでありがちな、悪の龍?

『おそらくは、そんなところだろうな。だが、ディアドラゴ……少なくとも、私に覚えはない』

「さぁ、それでどうなのだ! お前は力を手にいれたのか、いれなかったのか!」

 ……おい。
 ちょっとまて。説明無しにあの部屋に入れられて、事情も何も分かっていない世界に来たボクが神龍だってことを告げたんだよ? 少しは察してもいいんじゃないか?
 ひょっとして、こいつら……馬鹿?

「そうだな。……私は炎と熱を司る赤龍神・フレイアだ。お前等が召喚した者を認めた、神龍の一人だ。現在は、このものの身体を借りて、喋っている」

 ボクの口を使って、勝手に喋るフレイア……

「どうした? 急に黙り込んで……嘘だと思っているのか? それならそれで構わぬ。我等を元の世界に戻し、再びあの部屋に神龍と波長を合わせる者を呼び出すがいい。最も、力を貸すわけがないがな。私が、このものに力を貸した、今では」

 あ、いや…そんな睨まれましても……
 その時だった。
 いきなりドアが開き、負傷した兵士の一人が……

「どうした!」

「すみません……大量の奴等の兵が攻め込んできたんですが…その時は、赤い何者かが奴等を壊滅させました……ですが、その後……更に大量の、兵が……」

 そこまで言ったとき、彼の身体が突然光の粒子となって消えた。
 次の瞬間、城が…大きく揺れた。
 倒れそうになる小夜を受け止める。だけど、この揺れでも何ともならないなんて…こっちの姿でも、少しは力が上がっているってことなんだろうか。

「糞…どうすることもできん! 神龍殿、ここは…ひきましょう」

「確かに、感じる気配でいけば、かなりの実力を持つ者共。今さっき龍騎士になったばかりのフレイでは、力の扱いになれていないだけあって、不利か…」

 頼むから、ボクの口を使って勝手に喋らないでくれ。

「で、どう逃げるつもりだ? 城の周りだけでなく、上空にも敵はいる。……飛竜を使って飛んでも、撃墜されるだけだぞ」

 その言葉に、彼は笑みを浮かべた。
 フードを深く被っているから、口元だけの笑みだったけど。

「ご安心を。さぁ、早く、こちらに……そちらの、お嬢様も」

 いわれるがままに、ボクたちは足を勧めた。
 一体、どうするつもりなんだろう……






 ……いわれるがままについてきた場所は、今さっき神龍フレイアの力を得た場所とは違う、地下室だった。
 そしてその地下室にあった物…それは…
 巨大な、戦艦だった。
 船のような形をした、鉄の戦艦。

「飛空艇だ。これに乗って、突っ切る!」

 既に船には、城の人々が乗り切っているようだった。
 ボクと小夜、そしてほかのフードを被った人達も、その飛空挺に乗り込む。
 操縦席らしきところに案内されたボクたち。操縦席に着いた瞬間、機体が小さく揺れる。

「これより、新型飛空艇は出立する! 目的地は…明確には決まっていない。とにかく、逃げるぞ!」

 操縦席らしきところにいた人が、激しい口調で叫んでいた。
 そして、機体がもう一度揺れた。窓から見える、前方の壁が突然開いた。開いたと思ったら、次の瞬間にはもう、機体は出立していた……

 飛空艇は、空中に身を投げ出していた。
 周りには、何十といる龍達!

「どこか、外に通じている場所は!」

 ボクは叫んでいた。
 皆、驚いていた。

「あの数の龍達を振り払えるわけがない。少しは数を減らさないと…」

「悪いが、お前なんかに奴等が倒せるとは思えないな。最も力の弱い龍達でさえも、普通の人間が敵うわけがないんだぜ?」

 筋肉の塊のような男が、ボクを馬鹿にしたようにそう言った。
 生憎ボクは、冗談を言ったつもりはない。
 ボクは、目をつぶり……首飾りの宝玉に力を込めた。力の込め方は……ボクの中にいる、神龍フレイアが教えてくれる。
 次の瞬間、ボクの身体が赤き光に包まれる。身体が、変化していくのが…今度は明確に分かった。
 骨格の変化、そして性別の変化が。
 ボクは、目を開いた。
 そして身体を確認してみる。赤の龍騎士…フレイの姿だった。

「ボクの名はフレイ。神龍の加護を受け、龍騎士となった者だ!」

 不思議と、そう叫んでも恥ずかしくはなかった。
 むしろ、自分のことをしっかりと紹介したという意味合いの方が大きかったからだろう。

「……デッキに出ろ。そこなら、奴等と闘えるほどの広さがある。だが……飛空艇を壊すなよ。闘う力を持たぬ、一般人も……乗り込んでいるのだからな」

 舵を取っていた女性の、その言葉に頷いたボクは、デッキへの行き方を聞いて身を翻し……デッキへと向かった。
 甲板は思いの外広く、この飛空艇で一番広い場所なのだろうと、勝手に認識した。
 龍達は、攻撃対象を飛空艇に絞っているようなので、まずは思いっきり度派手に何匹かを始末して…ボクに注意が向くようにしないと。

『派手にいくか。ならば、術を教えよう。まずは…『盟約の言葉』を紡げ。それで、この世界に住まう精霊達に力を借りるのだ。そして……『力ある言葉』……術の名前をいえば、術は発動する。理屈的には、そんなところだ。いいか、私の言うとおりに言葉を紡げ。赤く尊き炎の使者よ』

赤く尊き炎の使者よ

『天高く舞い上がり 我に仇なす敵を討て』

天高く舞い上がり 我に仇なす敵を討て

 言葉を紡ぐ度に……身体を、不思議な力が覆う。
 そして、ボクはフレイアにいわれた……『力ある言葉』を叫ぶ。

鳳凰天昇波!

 炎を纏った、赤き神鳥が、放出された。およそ十羽の、神鳥達が。
 神鳥達は、龍達の中に飛び込んでいった。龍達は敵、と思ったのか、神鳥に攻撃をくわえる。
 だが、それは間違いだった。攻撃が当たった途端、神鳥は爆発を起こしたのだ。
 幸いにも、飛空艇から距離は離れていたので、こっちに影響がでるということはなかった。
 龍達が攻撃をくわえなくても、神鳥達は龍達にぶつかり、爆発をあげる。
 爆発を免れた龍達は、ボクを倒すべき敵として認識したらしい。

 ……だけど、そいつらの動きが……とても遅く感じる。

『甘く見すぎだな。奴等は、下級の龍だ。統率もとれていない奴等なら、今のお前で十分に対抗しきれる』

 フレイアの、心強い言葉を聞き…ボクは闘いを開始した。
 紅蓮の炎と、両手に握られた剣を使い、襲いかかる龍達を退ける。
 中には、逃げ出す者もいるけど、追撃は避けた。今は、この船が安全に逃げれることを優先しないといけない。

 よし…もう一度!
 ボクは、『盟約の言葉』を紡ぐ。
 フレイアが伝えるには、術というものはちゃんと仕組みというものがあって、その仕組みをちゃんと理解すれば、様々なアレンジ、新しい術を使うことも可能なんだそうだ。
 今度放つ技も、鳳凰天昇波。だけど、今度は小さい神鳥を、百羽近く生み出す。
 大きい神鳥を分裂させ、もっと多くの龍達にダメージをあたえようと考えたのだ。

鳳凰天昇波!

 ほかの技を使うことも可能といえば可能だけど、可能性の問題でしかない今は、確実に使えると分かっているこの技を使うしかないのだ。
 百羽近くいる神鳥達は、的確に龍達を襲っていく。ぶつかったら爆発すると理解しているのか、龍達は巧みにそれを避けてボクに襲いかかろうとする。
 だけど、神鳥達はそれを赦さなかった。
 ボクの指示通り、方向転換する神鳥達は…龍達を襲う。
 だけど、あまりに細かくしすぎたためか…倒せたのは、全体の五分の一程度だった。

 残りの五分の四は、手負いになったことで更に凶暴性を増したらしい。牙を、爪を向け、ボクに向かってくる。
 術を唱える暇はない。
 だけど、今のボクの最大の武器は…両手にある、二対の剣だ。
 五匹ほど同時に、ボクを囲うようにして襲いかかってきたが、前方にいた二体を、躊躇わずに無へと帰す。
 そのまま方向転換し、襲いかかる三体の龍達を、炎を纏い、一気に切り裂いた。
 切り口が焼かれながら、その三体の龍も消えていく。
 いい加減、そろそろ疲れてきた。
 後先考えずに、力を制御もしないで動き続けたせいだ。
 チャンスと考えたのか、数匹の龍達が襲いかかってくる。右手に握った剣を横一線に振るい、炎の刃を生み出してその襲いかかってきた龍達を切り裂いた。
 だけど、残った龍達はまだまだいる。目算したところ、およそ七十匹。
 もう、駄目かも。
 そんなコトを考えた、次の瞬間だった。

「凍陣氷裂波!」

 氷の術が、へたれこんでしまったボクの頭上を通り、龍達を消滅させた。
 一体誰が放った物だろうと思って、その術が発生した方向を見てみた。
 そこには、バイオレットブルーのマントを羽織った女性がいた。
 彼女は、盟約の言葉を紡ぎ始める。龍達は、女性も敵として認め、襲いかかる。
 疲れ切った身体に鞭を打ったボクは、彼女に襲いかかる龍達を蹴散らした。
 体がだるい。頭がぼ〜っとする。
 それでも、彼女を傷つけてはいけないとおもい、奮闘した。
 盟約の言葉を唱え終えた彼女は、『力ある言葉』を言い放った。

「白虎旋風陣!」

 物凄い突風が吹き荒れ、風とともに生じた真空波が龍達の翼を切り裂き、墜落させていく。
 だけど、それを発生させた本人はそこで倒れた。
 ボクが駆け寄ると、彼女はこう言い残して、

「超特大技2連発は……やっぱりきつい……」

 気絶した。
 しかし、おかげで後2〜30匹程度にまで龍達の数は減っている。
 ボクは、両手に剣を構え……背中に意識を集中させ、炎の翼を出した。どうやって出せたとかを、考える暇もなく、頭で考える前にボクは飛び出していた。
 力の消耗をおさえるために、剣先にのみ、炎を集中させる。そして、そのまま龍を貫いた。
 一匹だけでは終わらせずに、二匹、三匹と次々に龍達を消し去っていく。

「それにしてもフレイア……何で、こいつら炎とか吐かないの?」

『炎を吐いたりするのは、力のあるものだけだ。一応奴等にも炎を吐く能力はあるが、吐いたら自分が燃えてしまう。簡単に言えば、下級などの見分け方は自分の吐くことのできる物質について、一部的にせよ耐性があるかないかだな」

「毒蛇が自分の毒にかからないのと同じ?」

『ああ、そう思ってくれればわかりやすいと思う』

 そう考えていることができるってことは、自分もまだ余裕があるんだな、と自己認識した。
 頷いたところで、側方から近寄っている龍を、叩き斬る。
 血糊がつかないので、切れ味は最初と変わらずに使用できている。
 残り数匹と、なったときだった。
 龍達は、恐れを成したのか、はたまた違う理由なのか…知る術はないが、去っていった。

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 息が荒い。
 でも、龍達はもういない。
 その事実が、ボクに安堵をあたえ……

 ばたっ。

 倒れさせた。
 意識が遠のいていく。  ど〜やら気絶するみたいだ、と思ったときにはもう、ボクの意識は悠久のお花畑へと飛んでしまっていたのだった……

 

TO BE CONTINUED


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